2022,02,05, Saturday
第24回冬季オリンピック北京大会が4日、北京市の国家体育館(通称『鳥の巣』)で開会式が行われ、賑々しく開会した。感染対策で厳戒態勢が敷かれる中、91カ国・地域から約2,900人の選手が参加。英米などは少数民族に対する人権問題を理由に、政府代表を派遣しない『外交ボイコット』を決定し、それでも選手はいつものように入場ゲートから元気そうに現れた。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、まさに異例づくしの大会運営が続いている。むしろ中国にとっては、このコロナショックがこの程度で良かったのかもしれない。コロナにかこつけて外国人記者までも規制対象に出来るし、選手はもちろん感染防止策として選手村から出ることもない。中国政府が恐れていた『現状中継報道』は、今の段階では封じ込めに成功している。 夏季大会に比べて規模が小さいのは織り込み済みだが、『鳥の巣』を夏季・冬季両大会のメイン会場とする計画には、感心する。もちろん世界初の試みで、大会開催費の削減という観点からも、これは高く評価される。しかしこの企画は、中国ならではのウルトラCで、自然界も含めて全てを手中に収め得る中国ならではのことだろう。民主主義の国や地域では、どう考えても成り立たない。 英米など中国の人権侵害政策に反対する諸国は、『外交ボイコット』を貫き『五輪外交』をしていないが、一方ロシアのプーチン大統領は早々と駆けつけ、『外交ボイコット』下の『五輪外交』を印象づけている。ともにすねに傷持つ両首脳にとって、世界中の関心を集める『五輪外交』は、わが意を得たりと悦に入っていることだろう。そのプーチン大統領、開会式でウクライナ選手団入場時に、目を閉じたままで寝たふりだったのかと皮肉られている。 その瞬間を世界が見ているのを承知していたら、寝たふりしかパフォーマンスはないだろう。組織的ドーピング問題を理由に、東京五輪に続きロシア・オリンピック委員会(ROC)の選手として参加したロシアの選手団が入場すると、手を振って迎えたプーチン大統領の何と分かりやすい行動か。バッハ五輪会長の言動からも、五輪は平和と繁栄の象徴とは、もはやなり得ていない。 スポーツというルール下での死闘に、尊さや威厳や汗のぬくもりをオリンピックではもはや感じられなくなっている。米NBAの利権と言われているテレビ放映も、何だかつまらないモノに思えて、わが家では開会式が始まる午後9時から『所さんのそこんトコロ』、一生懸命錆びた金庫を開ける苦闘を見ていました。 |