2022,02,03, Thursday
フィンランドのノキアやNTTなど世界の通信関連企業48社が、インターネットに常時接続する『コネクテッドカー(つながる車)』の部品について、トヨタ自動車やホンダなどに特許料の支払いを求めていることが分かった。1社当たり最大で年間200億円近い負担になり、次世代車のコスト増につながる可能性が高い。次世代車の中核技術は、ネット接続や自動運転などソフトの重要性が増している。
その窓口となっている『アバンシ』は、『パテント(特許)プール』と呼ばれる関連特許を持ち寄って共同で交渉する企業体だ。ノキアのほか、米クアラコム、蘭フィリップスなどが参加し、日本からもNTTやソニーグループ、パナソニツク、シャープなどが加わっており、国内外の48社で組織されている。 48社で、4Gの基礎となる標準必須特許の7割を持つ。通信機が電波を送受信する方法や機器の動作順序など、いずれもつながる車に欠かせない基本的特許となる。部品会社との費用分配なども含めて、自動車3社が支払に応じるかは不明だ。応じるとなれば年間数十億~200億円近い使用料になるとみられる。1台はわずか15ドル程度だが、製造台数が1-2,000万台となれば、総額は膨れる。 このように僅かのロットでも、世界規模となれば莫大なモノとなる。だから特許を持つ企業が、トラスト(企業合同)を組んで一致団結するというのはよく理解出来る。時代がまさに、変化を要求している。EV車や自動運転車など、世間的にはプラス要因だけが報道されるが、このように思わぬところからの要求は、今後もあり得る。 ますます企業だけ国だけと言っておれない世界が、すぐそこにまで迫ってきている。電波の使用についても、元々無料ではあるが有限資源だけに規制が入る。規制を無視しての使用は、絶対に成り立たない。同じ周波数を近接で同時に使えば、電波の殺し合いが起こって、制御することが出来なくなる。船はぶつかり、飛行機は落ちる。自宅のテレビでも、幽霊が出てくる。 SDGs(持続可能な開発目標)など自然環境の正常化と共に、便利になることへの対価は必要だ。こんなことも歴史的に見れば、ある種の産業革命の一つだと思う。産業革命は人間に利便性を提供したモノの、それで失うモノもいくつかある。対価を支払うのは、それを享受するための第一だが、金で済めばまだ良いではないか。 |