2021,09,08, Wednesday
2018(平成30)年以降の不適切融資問題を受けて減少が続いていた投資用不動産ローン(アパート融資)に、底打ちの兆しが出ている。21年4~6月期の銀行による新規貸し出し額は、4年ぶりに前年同期比で増加に転じた。個人の資産形成への関心が高まり、地方銀行を中心に融資を拡大する動きが広がっている。新型コロナウィルス下で、不動産に代わる収益源の開発が難しくなっているという、金融機関側の事情も透けて見える。
過日、アパート建設用の更地が売れた。売主は地元の地主、購入者は93歳のご婦人、弊社が仲介させてもらいました。勿論建設会社が横に付き、万事お膳立てが出来ているようですが、どんな事情が背景にあるのか存じませんが、93歳からアパートを建設するというのには、正直驚きました。つい最近まで原付バイクでお買い物、と本人はいたって元気。さすがに自動車運転免許は、返納したようです。 日銀によると、銀行による21年4~6月期の『個人による貸家業』への新規貸出額は、約5,500億円と2割増えた。前年同期比プラスは、17年1~3月期以来だ。一部の地方銀行は、投資用不動産関連の貸出を増やしている。トモニホールディング傘下の香川銀行は、投資用不動産などを含む『その他ローン』の残高が、1,121億円と15%伸びた。 投資用不動産ローンが増え始めたのは、安倍第二次内閣が発足した12年頃から。日銀が強力な金融緩和に踏み込んだことで、低金利下でも比較的高い利回りが見込め、節税効果も期待される不動産投資への関心が高まった。私もアパート建設等賃貸住宅からの家賃を『個人年金』として推奨し、もちろん自らも『個人年金』を所有し、『公的年金』と併せて今ではかみさんや孫のおねだりの原資としている。 地銀が不動産のほかに、有力な貸出先を見つけられないという事情も透けて見える。不動産ローンでは担保が取れるうえ、1件当たりの融資額も大きい。オフィスビルや商業施設は新型コロナで空室が増えたモノの、投資用として一般的な住宅の需要は底堅く価格は上昇が続く。居住用が投資物件として、その他より安全だとは言える。しかし全くノーリスクだとは、言い切れない。ここはオーナー業としての覚悟がいる。 |