2021,07,31, Saturday
ユニ総合計画のグリーンレポート146号が届きました。1級建築士・不動産コンサルタントの秋山英樹氏が、レポートを書いて私のような門外漢にまで送って下さっています。この類いの専門家レポートはいろいろ来ますが、その中でもこの『グリーンレポート』は秀逸の作品です。もちろん専門的な部分の詳細は分かりませんが、この部分は『凄い』と感心するのは、私だけではないと思います。
そのレポートの中から一部になりますが、146号から読んでみたいと思います。(前略)最近コンクリートが進化しており、コンクリート構造物のひび割れなどの損傷を、バクテリアが自動修復する『自己治癒コンクリート』というバイオコンクリートが開発され驚きです。 アルカリ耐性の強いバクテリアと、そのエサとなるポリ乳酸をコンクリートに配合しておく。ひび割れなどが生じると、割れ目から浸透した水と酸素で、休眠していたバクテリアが活性化。エサを食べて、ひび割れを埋める炭酸カルシウムを生成するというモノで、微生物はひび割れが閉塞すると活動を休止し、休眠状態となりますが、再度ひび割れが発生すると活動を再開するのです。 コンクリートに微生物を混入して自己修復させることは、オランダ・デルフト工科大学のHendrik marius Jonkers博士が研究していたモノですが、日本の會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市・創業昭和10年)という会社が、共同開発して製品化にこぎつけたのです。 これまでもひび割れた箇所に、主成分がケイ酸ナトリウム系で水溶性の無機質浸透性の材料を浸透させ、その箇所に水を撒くことでコンクリート中の遊離カルシウム分と化学反応を起こし、ゲル状またはガラス状の結晶を生成する事で、ひび割れから漏水を防ぐというコンクリート改良防水剤・保護剤(ラドコン7という製品)が40年以上前より開発され私(秋山氏)も使用した経験がありますが、コンクリートの内部に微生物を混入させて、ひび割れを防ぐバイオコンクリートは画期的なことです。 コンクリートの弱点は収縮等によりひび割れが生じると、そこから雨水が入り鉄筋を錆びさせ、その結果膨張してコンクリートの爆裂で構造強度を失った結果、解体された新たなコンクリート建築が40~60年サイクルで建築されています。 日本ではコンクリート材料セメント消費量は、年間約4,300万トンで、その製造過程で原料の石灰石が焼成、溶融されることにより中に固定化されているCO2が、年間で約3,400万トンが大気中に放出されることになり、これは国内の全産業が放出するCO2の5~7%に相当するそうです。このため、SDGs(持続可能な開発目標)の一環で、地球温暖化防止策としてとられているCO2の排出制限に、コンクリートの寿命長期化は必須なのです。 また建物解体後のコンクリート等の廃材の二次利用は、建設リサイクル法で一定規模以上の工事における再資源化が義務付けられ、道路の路盤材・建築物の基礎材・コンクリートの骨材等に再利用されていますが、コンクリートがれきと廃木材を粉砕し、これらを混合した粉体をホットプレス(加熱しつつ圧縮成形)することで、あらたな建築材料としてがれきを再生することに成功しました。 さらに、木材のみだけでなく、接着の主成分と考えられるリグニンを含む各種野菜や、製紙工程で発生する副産物としてのリグニンを用いても、十分な曲げ強度を示すコンクリートを製造可能であることが確認され、製造条件によっては、一般的なコンクリートの数倍の曲げ強度を示す硬化体を製造することにも成功したと言うことです。 このように、ようやく建築業界でもSDGs(持続可能な開発目標)を意識した材料革命の取り組みがはじまりました。明日は、バイオ航空燃料の国産化について書いて見ます。両者はこれまでの常識を逸脱した、画期的な発明発見取り組みであります。われわれの生活とはほど遠い世界と思われがちの一端が、明日のSDGs(持続可能な開発目標)につながるようです。 |