2021,07,20, Tuesday
国内でのインターネットデータ通信量が、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、2年前の2倍になったことが分かった。23日開幕の東京五輪のオンライン観戦により通信量がさらに増え、速度や画質が局所的に低下する可能性があるという。動画配信サービスや、テレワークの利用拡大が背景にあるようだ。
総務省は、主要プロバイダー(ネット接続事業者)からの集計数値をもとに、光ファイバー回線など通信量を年に2回推計している。2021年5月の下り(ダウンロード)の通信量は、毎秒約23.9テラ(テラは1兆ビット)と、19年5月に比べて2倍に増えた。20テラを超えたのは今回が初めてと言うが、どの程度かまったく実感がない。恐ろしいことに若者の間では、LINE通信が無料と言うことに目をつけ、接続しっぱなしだそうだ。 コロナによる外出自粛で、米ネットフリックなど動画配信サービスの利用者が増え、気づけば高額請求量になっていたとも聞く。感染防止のための、テレワークも拡大している。小中学生に学習端末を一人1台配備する『GIGAスクール構想』などで、学校での通信量も増えたと見られる。全体的には余裕を持たせているものの、局所的な目詰まりが起きる可能性が指摘されている。 特にマンション構内の配線が光回線ではなく、(ネット初期の)メタル回線の場合などは、通信が集中すると速度や画質が低下しやすい。インターネットに接続するプロバイダー(ネット接続事業者)同士が、相互に接続する拠点(インターネットエクスチェンジ・IX)の98%が、東京都と大阪府に集中している問題もあるようだ。 IXは高速道路におけるジャンクションのような存在で、データの中継拠点となる。プロバイダー(ネット接続事業者)が、データセンターに設置している。北海道にあるプロバイダーを通じて東北のプロバイダーを使っている人にメールを送る場合、それぞれが直接接続していなければ、東京のIXを経由することになるようだ。 多くの通信が東京や大阪に集中するため、通信量が増えれば情報の目詰まりが起きやすくなる。災害時の通信の寸断リスクも、高くなる。総務省はIXの地方設置に向けた実証実験費を、22年度予算の概算要求に盛り込む。地方のIXが増えても、利用者が閲覧したいサイトのデータが東京にある場合、結局は東京などへ取りに行く必要がある。コンテンツの内容を、サーバーにコピーして配信する『コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)』の分散なども、ポストコロナ時代の課題だ。 |