2021,02,21, Sunday
過去の小欄で、思いつきのように『航空燃料の代替はどうなる』ということを書きました。自動車のガソリンは、電気や水素などの代替エネルギーがとり沙汰されている。ヨーロッパを中心に、石油から脱却する方向にあるのだが、私の耳にはこの航空燃料の代替案が耳に入ってこなかった。そんな中、2月19日(金)の日経新聞に航空燃料に関する記事が掲載されている。たいへん興味深い。
全体的印象は、まだまだと言う感は否めない。一例で、米ユナイテッド航空は電動旅客機、KLMオランダ航空は新燃料の次世代技術に投資し、『温暖化ガス排出ゼロ』を探る。このコロナショックで搭乗者が激減している中でも、当局の規制や投資家の圧力、利用者の環境意識を背景に対策が不可避なためだ。業績回復と、脱炭素との両立は容易ではないが、やらざるを得ない崖っぷちに業界は立っている。 米ユナイテッド航空は地方航空会社・米スタートアップ、アーチャー・アビエーションと共同で、アーチャー・アビエーション社が2024年に商用化を目指す電動旅客機を、最大200機購入する。電動旅客機は大容量のリチウムイオン2次電池で、モーターとプロペラを動かす仕組みで排ガスはゼロだという。 4人乗りで100㎞の近距離を移動する『空飛ぶタクシー』を想定し、米ユナイテッド航空は航空管制などでアーチャー・アビエーション社に助言する。機体の大型化も、今後視野に入れるとみられる。同社の業績は四半期で最終赤字が続くが、20年末に50年の温暖化ガス排出ゼロを宣言し、従来目標の半減から引き上げた。脱炭素に向け、ジェット燃料の置き換えだけでなく、新技術の開拓も急ぐ。 欧州ではKLMオランダ航空が2月、スタートアップと組み、二酸化炭素と水から作った新燃料を生産する工場を蘭アムステルダムに建設することに明らかにしている。全日本空輸(ANA)も、東芝子会社などと二酸化炭素を再利用するジェット燃料の開発に乗り出す。日本航空(JAL)は、丸紅などと廃プラ原料などの燃焼を研究中であります。 航空業界の温暖化ガス排出量は、世界の2%を占める。『乗る側』の意識変化も大きい。欧州投資銀行の21年の調査によると、コロナが収束して渡航制限が解除されても、気候変動対応のために飛行機に乗る頻度を減らすと答えた人は欧米で7割、中国で8割に上った。欧米の規制当局も、脱炭素で足並みをそろえる。航空業界は、アフターコロナでも二重苦三重苦が待ち構えている。 |