2021,02,03, Wednesday
不動産に関する登記は、『早いもの勝ち』が常識ですが、これは登記すると得をするから登録免許税という税金を払ってでも行うというのが不動産業界での実務であります。法律で決められているのは、建物の表示登記だけで、その他は任意です。また登記は、法務局が開いているウィークデーの開局時間内とされています。実務では『大安・友引』など六曜が重宝され、喜びごとだから午前中が好まれています。
このように不動産登記は、得をするから税金を払ってまで自分名義にします。逆に言えば、そんなに得にならない場合には、ほったらかしにされています。法的には、所有者欄に記載された人物が『真の所有者』であるはずですが、死んでいる人の名義のままという登記簿も多く散見されています。これでは困るとして、法制審議会(法相の諮問機関)の部会は2日、民法や不動産登記法の改正案をまとめました。 土地の相続登記を義務づけ、(相続を知ったときから)3年以内に登記しなければ10万円以下の過料を科す。そのかわり、一定の要件を満たせば、相続した土地の所有権を手放せる制度も新設するらしい。法制審は、10日に上川陽子法相に答申。政府は今国会に関連法案を提出し、早期成立を目指すようだ。実態に合った法改正で、広く公益に資することになると思われます。 国全体では2016年時点で、九州全体の面積を上回る410万ヘクタールが(『真の』)所有者不明との推計もある。公共事業や災害復興工事に支障をきたすことから、政府が関連法の整備を順次進めており、今回の法改正が『総仕上げ』となる。一方、相続登記の際に提出する書類を簡素化するほか、法務局が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に紹介して、名義人の死亡情報や住所変更を把握できるシステムを作る。 また画期的な改正は、相続した土地の所有権を手放すことを申請し、法相が承認すれば国庫に帰属させる制度を新設。ただし、土地の管理コストは本来所有者が負担すべきだとの考えから、①更地である②担保に入っていない③土壌汚染がないなどを要件とし、申請者は10年分の管理費用相当額を納める必要がある。 加えて遺産分割の期限を10年とし、経過後は法定相続分で自動的に分割する。今でも相続が発生したら同時に、法定相続分で共有していると推定される。さらに相続人が不明な場合の財産管理制度を、財産全体でなく土地に特化して使えるように見直すとしている。これらの実態に合わせた改正が出来れば、土地がより一層公益の財産として活用できようになると期待します。 |