本書は、2008(平成20)年9月4日に出版された『隷属国家日本の岐路-今度は中国の天領になるのか?』(ダイヤモンド社)がベースになっています。この本自体は、2020年7月15日に上梓されたモノです。12年前に出版された前作では「日本改革」を提案するなかで、いくつかの予想もしていました。そのうち3つの大きな予想が的中しました。
その1つ目はアメリカが没落したことです。もちろん今回の大統領選挙の結果は含まれていませんが、アメリが没落の兆候はもう20年前頃から顕著であったと北野氏は見ています。それは05年に出版した『ボロボロになった覇権国家』(風雲舎)で、「アメリカ発の危機が起こり、没落する」と書いています。
的中した2つ目の予測は、日本に親中政権が誕生したことです。前作の発売からちょうど1年後の09年9月、民主党・鳩山政権が誕生しました。鳩山内閣は反米政権でした。同時に親中政権でもありました。正確には「親中依存政権」です。09年12月10日、当時政権の最高実力者だった小沢一郎は、訪問先の北京で、「私は人民解放軍の野戦司令官だ」と発言し、世界中を仰天させました。
的中した3つ目の予測は、「尖閣問題から日中対立が激化する」。実際、2010年には尖閣諸島付近で中国漁船衝突事件が勃発、12年には尖閣諸島国有化によって、日中関係は戦後最悪になって今日まで続いています。これらの予測が当たったと言うことで、『隷属国家日本の岐路』の評判は上々でした。
本書は、その改訂版として新たに刊行する書籍です。当時から状況が変化した部分などに追記や一部修正を施しましたが、基本的には以前の内容がそのまま通用します。12年前に書いた「日本改革本」が今でも通用するということは、日本はほとんど何も変化していないと言うことです。詳細についてはお読み頂くとして、『もくじ』を書いておきます。
序章
第1章 移民労働者大量受入に反対!
第2章 平和ボケ 外交音痴 日本の行く末
第3章 食糧危機をどう乗り切る?
第4章 世界一教育熱心な国 日本が失った『教育』
第5章 脱アメリカ信仰!日本は世界から愛されている
最後の方に、どうすれば良いのかという処方箋が書かれているように感じました。国家も個人と同じく、金銭面(経済)では上がり下がりがあります。苦境に陥ったとき力を与えてくれるのは、外国ではありません。それは私たちの歴史であり、私たちの文化。
「私たちの先祖は、蒙古が来襲しても、黒船が来ても、原爆を落とされても大丈夫だった。今回も私たちには、乗り切る力がある」と確信すること。「私たち日本人、今のままでいい」と考え、ご先祖様に感謝しつつ、「力を貸して下さい」とお願いしてみましょう。力がみなぎってくるのを、感じられるのではないでしょうか。