2020,05,11, Monday
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、アマゾンなどのネット書店で本の「在庫切れ」が急増しているという。私などはたまたまだろうが、「在庫切れ」に遭遇していない。出版社に在庫があっても、緊急事態下の「優先度」から後回しになっている。外出自粛で音楽や美術を生で楽しむことの機会が減り、さらに「読書」も難しくなるのだろうか。
出版社が取次会社を通じ、書店に本の販売を委ねる委託販売制度をとる日本の出版界。売る側が、作る側より圧倒的に強いのだ。出版社に尋ねると、ネットで在庫切れでも出版社や取次店には「本はある」という。関係者によると、アマゾンは3月から納品制限を始めた。新型コロナウィルスの影響で、食品や衛生用品など「生活必需品」を優先しているとは聞いた。 書評で評判になった既刊本などの在庫が払底し、出版社が働きかけても追加納品を受け付けないことが多いという。例えば岩波新書では今年初めの刊行本まで「在庫切れ」となり、古書価格も高騰している。「本の優先度を下げられて悔しい」との憤りの声の一方、「この状況では仕方ない」と諦めの声も聞こえる。 ただアマゾンは今や、売上で国内最大の書店とされ、多くの書店が休業する状況では出版社のダメージは大きい。アマゾンの広報担当者は、「可能な限り早く通常のオペレーションに戻すことが出来るよう努めている」と述べている。しかし出版ジャーナリストの1人は、「書籍販売から通販事業を始めたとはいえ、アマゾンにとって本は他の商品ほど旨みが少なく、不要ではないが不急と判断したのだろう」と分析する。 取次店大手トーハン運営のネット書店「e-hon」は、お気に入りの書店を登録すれば、宅配で本を頼んでも休業中のその店(登録店)の売上につながるサービスで好評だ。私も、これを利用したことがあります。著者の希望で「e-hon」へ行って、近くの本屋の熊野書店さんから配達があった。代金は、クレジットカード払いしていたと思う。 人文書や海外ノンフィクションに定評のある亜紀書房(東京)は4月、通販サイト「あき地の本屋さん」を開設。「在庫切れ」などを受けた対応で、アマゾンで欠品の本が売れている。担当者は、「本を読者に届ける出口を一つでも増やし、読者と本を結ぶ新しい形を探りたい」と話している。私も本のリアル店舗(宮脇書店)も、アマゾン・ドット・コムなどのネット書店も使うが、アマゾンがガリバーになりすぎるのは、価格高騰につながりかねないと心配する。 |