2019,12,28, Saturday
政府は27日の閣議で、海上自衛隊の中東派遣を決定した。アメリカの誘いにはNoをつきつけたが、ついにかと言う気持ちが、沸き上がる。中東・ホルムズ海峡の安全確保を目的とする米国主導の有志連合には参加せず、独自の活動と位置づけるが、集めた情報は米国などと共有する。護衛艦は、海自横須賀基地(神奈川県)を拠点とする「たかなみ」で、約4週間の訓練を経て来年2月上旬に現地へ向かう。派遣規模は計260人程度。
アフリカ・ソマリア沖アデン湾で、海賊対処活動に当たるP3C哨戒機も活用する。派遣期間は1年とし、延長もあり得る。河野太郎防衛大臣の命令だけで実施できる、防衛省設置法の「調査・研究」に基づく初の海外への長期派遣で、政府の独断により自衛隊の海外活動が歯止めなく広がるとの懸念は、ぬぐえない。正月明け招集の通常国会でも、議論となるのは確実だ。そのための予算措置も、約47億円計上している。 過日なくなった中曽根康弘元首相が、1987年9月に、ペルシャ湾への掃海艇派遣を言い出したことに、後藤田正晴官房長官が強く反対したことは記憶に残っている。ペルシャ湾に自衛隊を派遣することを決めて、閣議の同意を求めたが、後藤田正晴官房長官は「同意の署名をしない」と徹底抗戦、これに中曽根康弘元首相が折れた。今の菅義偉官房長官には、到底出来ぬ芸当だ。 その後の自衛隊の海外派遣は、湾岸戦争後の1991年、機雷掃海に海上自衛隊が参加したのが初めて。湾岸戦争で、日本が自衛隊を出さなかったことで、アメリカをはじめ世界中から叩かれた反省からだと思われる。そして92年に国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、カンボジアへ展開した。 その後も2001年には、海自艦がインド洋で給油活動を行い、03年には陸上自衛隊がイラクで道路復旧に従事したり、海外活動が続いている。いずれも特別措置法を、その都度適用し、批判をかわしてやりくりしている感が強い。09年には海賊対処法で海自がソマリア沖で活動した。 不測の事態が発生すれば、武器を使用できる海上警備行動を発令するというが、まさかの時に命令を待っていては戦えない。現場に判断を任せて、隊員が負傷しないようにするべきだ。アメリカなどでも、「無人化」が進んでいるではないか。今回の活動海域は、オマーン湾やアラビア海北部、バベルマンデブ海峡東側の公海に限定される。 |