2019,07,25, Thursday
幻冬舎新書から、2019年5月30日に上梓された、副題に「公安警察、公安調査庁との三つ巴の闘い」と何とも物騒なタイトルの本であります。どこかで紹介されていたモノを、アマゾンで購入して読んでみました。日本国内には、この本で紹介されている①内閣情報調査室②公安警察③公安調査庁という3つのスパイ(情報収集)組織があるようだ。
その内「内閣情報調査室」は、そのトップの内閣情報官が毎週火曜日と木曜日の週2回、総理大臣外遊中を除き、必ず総理官邸に出向き、世界中から収集した情報を総理大臣に報告している。よく言われる、内閣官房長官は、官房機密費を潤沢に持って使っていて、その行き先は霧の中などと言われている。それで、国民が守られているのかも知れない。 2018年3月20日、最高裁が一部開示を命じた官房機密費の使途が一部明らかとなった。 今回の司法判断を受けてもなお個別の支出先や金額は明らかにならなかったが、内閣官房長官自らが管理し、領収書も不要な「政策推進費」として約9割が使われていたことが初めて明らかになった。 現在の内閣情報官は、北村滋氏だ。2011年12月に就任しているが、北村氏の官邸官僚としての振り出しは、2006年の第1次安倍晋三内閣の総理秘書官を務めたことだ。内閣情報調査室は、関係者の間では「内調」と略して呼ばれることが多い。また海外の情報機関からは「CIROサイロ」と呼ばれている。 当時の安倍晋三内閣総理大臣は、官僚の相次ぐスキャンダルに翻弄され、持病も悪化。そしてついに翌年の2007に、総理を辞任する事態となっていた。時を同じくして北村も、畑違いとも言える刑事部門への転出を迫られている。 しかし、安倍が民主党から政権を奪取し総理大臣として返り咲いた2012年末、その1年前から内閣情報官に就任していた北村も、再び安倍を支える官邸官僚となった。在任して7年余り、北村は内閣情報官として日々、安倍晋三内閣総理大臣に国内外のさまざまな情報を報告し続けている。 情報収集活動においては公安警察、公安調査庁との熾烈な闘いがある。三者の機能を一つにした「総合情報機関」の設立論も各省庁が綱引きし、浮かんでは消えている。そうした混乱の最中にも、国内でのさまざまなスパイ行為が潜行しているのが現状だ。とりわけ内閣情報調査室の持つ情報収集力には、計り知れないものがあるようです。 国内・国際・経済・総務の4部門から成る内閣情報調査室の約250人のスパイたちは、国内外あらゆる情報を日々積み上げていき、わずか数ページのペーパーに落とし込む。そのインテリジェンスは、日本のトップの判断材料たり得るモノばかりであります。北村をトップにいただく内閣情報調査室は、官邸の強さと比例するように年々、存在感を強めている。 少しライバルの話も、内閣情報調査室をよく知るために列記したい。公安警察は、その名の通り日本の警察組織における公安部門のことを指す。公安警察は全国でおよそ10万人の公安警察官によって組織され、「全国一体の原則」で捜査活動を行うのが定石である。日本の警察全体を指揮監督するのは警察庁だが、公安警察は、「警察庁警備局」が指揮をとる。 公安警察の仕事は、ずばり「国益に関わる組織犯罪を摘発する」ことだ。1970年代には極左暴力集団による爆弾テロが相次ぎ、公安警察は総力を結集してほぼそのすべての集団を殲滅(せんめつ)させている。昨今では産業スパイ、国際テロ活動が公安警察の阻止すべき対象となっている。 一方、公安調査庁は法務省の外局で、1952年に破壊活動防止法、いわゆる破防法を執行する行政機関として誕生した。公安警察のような強制捜査権は持たないが、破防法の団体規制を請求するための調査権が与えられている。内閣情報調査室と公安調査庁はやはり、海外のスパイ活動に関する情報収集で領域が重なっている。 この本を読んで、難しいだろうが権益を超えて一本化した「総合情報機関」の設立論を私も支持する。3つの機関の人間が双方に出入りしていて、内情は一つの感が強い。アメリカのCIAやFBIのような、国を串刺しする捜査機関、内外のスパイ活動を一本化する組織、難しいだろうが、必要だと思う。 |