2019,06,17, Monday
財務省は14日、相続人がいないと見込まれる土地の持ち主が、国へ贈与する契約を生前に結べるようにする仕組みを整備する方針を発表した。なぜかこのような重大発表は、金曜日に行われることが多い。アドバルンを上げて、選挙区へ帰った国会議員に市井の感触を聞くためか。100歳2000万円問題で、窮地に立つ与党の擁護案か。
不動産登記が、長年放置された所有者不明の土地が増えていることに対応し、国有化を進めて問題の拡散を防ぐ狙いのようだ。年内に詳細を詰めて、2020年度にも制度の運用をはじめる。有識者でつくる財政制度等審議会・国有財産分科会が答申に盛り込んだ。この有識者で、現場の状況が見えているとも思えないのだが。 相続人となる家族や身寄りがなかったり、子どもや配偶者が相続放棄したりした不動産は国庫に帰属するという決まりは今でもありますが、親族が裁判所に申し立てしなければならない。これからの大量相続時代に、手続きが滞って、所有者不明の土地が増える可能性がある。登記は、スルもしないも自由なのです。 そこで、極端に荒れて管理費がかさむ物件でない限り、引き取り手がない不動産を死後に、国へ渡す契約をあらかじめ交わせるようにする。高齢者の自宅敷地を、主に想定しているという。また手放しやすい遊休地などは生前、相続に関係なく一定の価値があって売却容易なモノを対象として国への寄付を受け入れる。 この運用が始まれば、行政目的としては不要な国有地が増えると予想され、不動産情報サイトと連携した情報発信などで積極的な売却に取り組むとしている。この動きは歓迎するが、現場にいる不動産業界人としては、同時に「不動産登記の義務化」を法制化して、さらに売れそうもない不動産も積極的に国がうけるべきだと考える。 売れる物件は民間で処理できます、売れない土地はコストが税金で賄われるから優良物件だけというのだろうが、国のありかたはそうではないでしょう。都合主義で、国の制度が構築されるのでは抜本的な制度改正には遠く及びません。私は希望者に対して、無条件で国が引き取るべきだと思います。 国への寄付は以上の通りですが、未利用国有地の貸出対象をこれまでの介護・保育施設限定から、商業施設でも可とするなど利用制限を拡大するようです。定期借地権推進の意味でも、国は用途制限をかけずに広く借り手を探せば良いのです。土地に罪はありません、人間が罪を作るのです。 |