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私道とトラブル~「所有者不明市道への対応ガイドライン」を中心に~
公益財団法人不働産流通推進センターが、わがところの資格「宅建マイスター」メンバークラブ勉強会を開催し、全国から希望者16名の「宅建マイスター」を有料(2.5万円)で集めています。そのタイトルが、標題の「私道」です。全国の宅地建物取引士、業務にたずさわっている資格者21万人のうち、ほとんどすべての取引士が「私道」に悩まされていると思います。

日本の法制度では、大きく「公道」と「私道」がありますが、大企業と中小企業の関係のように、目に付くのは大企業=公道ですが、数からもほとんどは中小企業=私道の構図が溢れています。特に共有私道(共同所有型私道と相互持合型私道がある)に、多くの問題が孕んでいます。今日は講師の野村裕弁護士が自らの裁判例を引き合いに出していましたが、私も同じような裁判を経験しました。

そして今こうして有料セミナーを開催するほど、「私道」が脚光を浴びています。その背景には、「所有者不明私道」のやっかいな存在が、平成23年の東日本大震災からの復興に、とてつもない足かせとなっている現状が横たわっています。終戦後のGHQ政策で、日本の土地の絶対的所有権が確立しました。大袈裟に言うと、「私の土地だから」と言って、どのように使用収益しても好き勝手となっています。

土地は、土地神話と言われる右肩上がりの値上がりを続けていました。もう30年前の話しですが、法整備はその位、立ち遅れています。東日本大震災から7年、本日の講師・野村裕弁護士(のぞみ総合法律事務所)は平成25年5月から三年間、石巻市役所に特定任期付職員として復興支援に努力しています。みずから手を挙げて、行ったようです。市職は喜んだでしょうね、身近に弁護士が付いていてくれると。



氏の話では、海から距離のある田は比較的簡単に宅地化できますが、平地の少ない石巻は足りない住宅用地を、山を切り取って(切土)宅地を造るのですが、宅地や田に比べて「山林」は相続登記がおざなりになっているのが多いのです。極端な例かも知れませんが、地方都市にあって最後の登記から90年以上経過している「宅地」が3%にすぎなのに、「山林」は9%、「道路」も10%あります。

要するに日本の登記制度は、「得をするから登記する」制度で、義務は新築住宅の表示登記(木造瓦葺き2階建て1階 ㎡2階 ㎡・新築年月日)だけで、その他の相続登記や所有権移転登記も任意となっています。この件に関しては紙幅の関係からも、また別の機会に書きますが、改めて不備を実感した国は、法務省を中心に法整備を急いでいます。

さて本題ですが、そもそも「所有者不明土地」とは、所有者を特定したり、所有者の所在を把握したりすることが困難な土地と定義されています。国の本気度の一つとして、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が、平成30年6月6日成立、一部は施行されていますが、全面施行は平成31年6月1日とされています。

同法2条1項に、「相当な努力が払われたと認められるものとして、政令で定める方法により探索を行っても、なおその所有者の全部又は一部を確知することが出来ない一筆の土地を言う」とされている。「政令で定める方法」はかなり踏み込んでいて、登記情報や固定資産税納付情報や死亡情報などを一元化して使えるようにしている。

平たく言うと、「調べられる方法をすべてつまびらかにする」ように改善されている。このようにして、災害復興のための「所有者不明私道」への対策は、大きく前へ進んだ。ところがもともと「私道」が持つ悩ましさは、何も変わっていないのです。と言うのも、民法も不動産登記法も、「私道」についての明確な条文がないのです。揉めることがなく、必要なかったのでしょうね。

そこへ、標題の正式名称「複数の者が所有する私道の工事において必要な所有者の同意に関する研究報告書~所有者不明私道への対応ガイドライン~が、法務省の肝いりで平成29年8月から11月という短期間でまとめられ、平成30年1月公表されています。先に書いたように、私道に関する法律が曖昧模糊としているため、専門家の解釈として「前向き」論が展開されています。

事例研究会の委員は、座長が慶応の松尾弘、委員が早稲田・上智・神戸大学の教授に、司法書士と土地家屋調査士と、野村裕弁護士の7名です。本来なら現場をよく知る宅建業者が入るべきだが、そこまでの信頼を得ていない。事例研究をまとめているが、私道といえども「道路」だから私権の制限を強く臭わせている。これまでは、「自分の所有権は好き勝手」が圧倒的だったのだが。

「土地基本法」がバブル崩壊前の平成初期に出来て、やっと土地憲法が出来たと言われたものの、その後何の役にも立っていないのだが、土地基本法(平成元年12月22日法律第84号)は、土地についての基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の土地についての基本理念に係る責務を明らかにするとともに、土地に関する施策の基本となる事項を定めることにより、適正な土地利用の確保を図りつつ正常な需給関係と適正な地価の形成を図るための法律。

先の小欄にも書きましたが、「共有私道」は自分の所有権があると言うけれど、地球から借りているようなモノで、固定資産税計算でも不動産評価額の1.4%が固定資産税として徴収されている。つまり80年間1.4%を支払っていたら、112%つまり買うのと同じことになっている。冷静に考えたら、「共有私道」であっても自己主張は慎む。更に言えば、市町村が寄付採納を積極的に受けて「公道」にしてくれれば、いらぬ争いはなくなるのだが。


| http://nobuchin.0011.co.jp/index.php?e=4424 |
| 社長日記 | 10:37 AM | comments (0) | trackback (0) |
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