2018,10,21, Sunday
このところ巷の面白話として伝えられる、「積水ハウス」が架空の土地取引で約55億円をだまし取られた事件の全容がはっきりしてきた。バブル崩壊の前、つまり昭和末から平成3年頃の話しであれば、私も「さもありなん」と思うところだが、既に東京の地価も東京オリンピック・パラリンピックを待たずして、値下がりの傾向にあると言うこの時期になぜ。
私は色々な理由はあると思うが、大手「積水ハウス」だから騙されたという、大企業病が判断を誤らせたのではないかと、一つの理由を推察する。積水ハウスが購入しようとした土地は、東京都品川区にある廃業した約600坪の旅館敷地。上からの絵では、当時の賑わいがそのまま敷地内にある土地。JR五反田駅から、徒歩3分(実際に歩いた人は4分と言う)の交通利便の地。 捜査する警視庁捜査2課では、16日にグループ8人を逮捕し、他の地面師メンバーも随時逮捕するとか。フィリッピンへ出国した主犯格の容疑者は、国際手配されていて、フィリッピン当局に身柄を拘束されて、機内で警視庁2課の警察官に逮捕される模様。別の詐欺容疑で服役中の男(65)が、3年前からだましのストーリー展開を考えたという。 ストーリーと言っても、売主の老婆に替わる人間を羽毛田正美容疑者(63)が演じているだけで、特別の筋書きがあるわけではない。こんな単純なトリックを怪しんで、羽毛田正美容疑者の顔写真を撮影して近所の人に裏取りした不動産業者もいたと聞く。近所の人は口を揃えて、「別人」であると証言したから、積水ハウス以外は引っかからなかった。身銭は慎重に、それなのに、大企業積水ハウスがなぜ引っかかったのだろうか。 確かに希少物件だとは、私も思う。山手線の内側で、これだけの利便性の高いまとまった土地は多くはない。それも公示価格で92億円の評価額のところ、売値55億円とは6割程度の価格。これをまず地場不動産業者は、「本当かいな」と疑る。積水ハウスに売買を持ちかけた会社役員に、10億円が振り込まれたと言う。 オーナー経営者は、石橋を叩いて渡る。特にうまい話には、より慎重になる。うまい話だから雑音が多いと考えていたようだが、人の忠告は真摯に受取り、急ぐ話しには乗らないことだろう。田舎でも不動産の売買契約に売主が来ないことも多々あります。しかし本当の売主かどうか、慎重にあたります。干支を聞くという話しもどうかと思いますが、それにすら答えられなかったというのは論外だ。 羽毛田正美容疑者も旅館業の周辺にいた人間で、仲居さんか芸者さんかと言われているが、なんとなく売主の話を聞いて「おかしい」と感じるベテランが積水ハウスにいなかったのも不幸を招いた要因かも知れない。社長らが責任をとって辞任しても、積水ハウスは堪えないだろう。また起こるかも知れない。 一方今日は、宅地建物取引士の試験日でした。全国で26万人が申込み、8割弱の20万人が受験したと思われている。県下でも、1,000人弱が挑戦した。合格点がいくらかと、もうSNSの世界で噂されている。試験終了から僅か3時間弱。200日以上の合計1,000時間が合格ラインと言われているのが、僅か3時間後に命運が決する。そんな時代だけど、やはりまともな不動産業者になるためには、こんな努力が必要だ。 |