国土交通省が、地元に働きかけて「地場産住宅(新築・中古)」を作ろうとしている。一つの流れとしては、新築から中古住宅への流行というか、昭和30年代から始まった「新築住宅着工年間100万戸」幻想からの脱皮のような動き。もう一つは、ハウスメーカー頼りの住宅行政から、地元工務店などの存続をかけた動き。大手依存への弊害とでも言うか、建設・土木業は災害対策もあって、地元密着業者の存続育成も必要としている。
(一社)ワールドインスペクションを中心として、建築業者から設計業者、はたまた宅建業者から不動産鑑定、究極は広報マスコミや弁護士、金融機関まで巻き込んだ、裾野の広い組織で「地場産住宅(新築・中古)」の開発が進んでいる。勿論昨年からの国土交通省補助継続事業で、インスペクションと呼ばれる「建物目視検査」の普及と、「住宅履歴」を残す作業を継続している。
新築住宅にあっては、住宅金融支援機構からの融資は継続するものの、中古住宅にあっては、住宅金融支援機構の融資よりも民間の金融機関を使う機会が多い。そこでさぬき安心あんぜん住宅普及協議会では、香川県独特のやり方に、地元金融機関の特別融資を付けることを考えている。このワンストップサポートサービス発想は、これまでになかった。もっとも現場では、中古リフォームでさえ、金融機関の斡旋をしているのだが。
私は宅建業者ですから、新築か中古かとなれば、中古住宅の斡旋が多いのですが、中古住宅の売れ行きは好調で、リフォームの相談も増えてきました。中古住宅の利活用からも、快適空間の創造に中古住宅となれば、リフォームが購入者の頭にもよぎっていることは間違いない。むしろ、そのまま手つかずで使う人の方が少ない。
この場合、国土交通省のお墨付き仕様で、税優遇も付加されると、もう一段と中古住宅の普及が進むことは間違いのないこと。国土交通省も、宅建業者に、「ワンストップサポートサービス」を求めている。相談を受けたら、購入からリフォーム工事、はたまた残地物撤去や解体、融資、測量・登記など一連の仕事の窓口になることを求めて来ている。
情報の非対称性と言って、一般消費者は宅建業者より情報が少ないから、情報豊富な宅建業者が吟味して紹介するようにというほどの意味かと思います。AI(人工知能)の入る余地のない分野で、われわれ宅建業者は生き残るすべを模索しているのです。(一社)ワールドインスペクションも、住宅履歴として、WEBシステム「おうちプロフ」を構築して、インスペクションと呼ばれる「建物目視検査」後、リフォーム後の記録を蓄積しはじめている。