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2003/12/10

祖母の三回忌

 2年前のクリスマスイブに逝去した、祖母の三回忌を行いました。満96歳の天寿でしたが、自分で夕食を食べて、お風呂に入って自分で拭いての最後でした。わずか3メートル先の私の耳にも異変を知らせるものはなく、静かな最後でした。
 私はこの「松野ミツヱ」のことを回想すると、いつも泣いて言葉に詰まります。これまでは、祖母のことが一番気になっているから嗚咽(おえつ)を覚えるものと信じていましたが、最近このスチュエーションでの自分の涙は、祖母と一緒に歩んだ自分自身への涙ではないかと思うようになりました。
 母は37歳で寡婦になりました。祖母は57歳でした。私は10歳、妹は6歳でした。ある意味ここから私の人生が始まりました。母は夫を亡くしましたが、祖母は息子を亡くしたわけです。夫に先立たれ、息子に頼っていた祖母は、憎っき嫁に頼るわけです。祖母と母は特別犬猿の仲というのではなく、一般的に義理の仲だと言うことです。
 祖母の人生の中にも、いろいろなことがありました。しかし祖母は常に私に、「今が幸せだ」とニコニコしながら語っていました。私には昼食が、母と祖母とのコミュニケーションの場でした。