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2003/11/26

同友会大学第11講「戦後のイラク・復興への展望

 

 今回の受講で、「イラク」は最大の関心事項でした。私はイラクとか中東とか言われると、全く理解できません。宗教も分かりませんし、中東の文化人類学も全く理解できません。それはまず宗教観に原因があるなとは、薄々気づいていました。第一私には唯物神がありません。仏壇は真宗大谷派ですが、熊野神社の氏子でもあります。高松冬のまつりの季節には、エセキリスト教徒にも成ります。だから中東のイスラム教は、難しそうで縁遠い課題でした。

 本日の講師、野田啓子さんは13年前に3年間イラクに住み、今年7月にイラクを訪問し、メールで情報を得る友がイラクにいると言うから、期待が広がる。分からない課題を簡単に説明する人が、名講師です。

 結局のところ、日本政府が自衛隊を派遣して、どのような役割を担うかという問題を具体的に説明いただけたと思います。要するにイラク国民が希望する役割を果たせばいいのだが、これを誤解してはいけないと言う警鐘でもあった。

 アメリカが戦争が終わったにもかかわらず、どうしてこのような泥沼状態から脱却できないでいるのか。ズバリアメリカは、イラク人の感情を逆撫でして協力を得られないでいる。また「トラウマ」に取り憑かれて、死に神に踊らされているのではないか。

 酒井講師はイラク人が今、怒っているという。怒らせているのはもちろんアメリカ。アメリカはまず、50万人にも及ぶフセイン政権関係者・バース党員である旧軍人を首にした。それを受けて6月18日、対米抗議デモに発砲し、死傷者を出してしまった。イラク人は、疑心暗鬼でイスラム教の教会・モスクに頼るようになる。もともと教会の牧師は、宗教家であると同時に法律家でもあるのです。国民の心は、飯もくれる生活空間も貰える、将来についての展望を持つモスクに集まるようになります。牧師は、アメリカが指名した指導者の統治ではだめだ。選挙で選ばれた代表が統治するべきだと説きます。アメリカは9.11のニューヨークテロはもちろん、1972年のホメイ師のイラン革命を覚えています。アメリカの大使館が占拠され、それが400日も続いたのです。宗教家の活躍や、ビンラビィン氏のような巨人を認めるわけにはいかないのです。

 アラブ神は日本の家長制度に似た、「家」中心の思想を持つそうです。日本が誇り高いイラク人の友達になれるのは、このあたりにあるようです。