目次
2003/11/12

出口調査

 先の衆議院選挙で、マスコミ各社はこぞって投票場出口で、投票を終えた有権者に了解を得て、誰に投票したかを聞く「聞き取り調査」を多数実施しました。その結果をもとに、開票速報で開票率0%なのにもかかわらず、「当選確実」が出る仕組みです。もっとも出口調査だけではなくて、選挙期間中は勿論その前から担当の陣営にへばりついて取材をします。それらをもとにして総合判断をして、「当確」を出します。勇気のいる仕事ですし、早いほど一種のステータスになります。
 ところでマスコミ各社の戦前の予想ですが、民社党が200議席に届き、自民党との2大政党時代の到来、政権交代の兆候が見える選挙と予想しました。NHKの予想がかろうじて、当選者の数の範囲に収まる程度で、民放テレビは、ことごとく予想を外していました。
 この一つの原因は、投票有権者の「心の誤謬」があったのではないかと思います。出口で例え自民党に投票していたとしても、「民社党」へ投票しましたと答えられたら、それ以上の質問は続きません。余りにも出口調査の結果と、実際の投票に「大差」があっように思います。私もある政党の職域責任者をしています。15時頃、「出口調査の結果が思わしくない。相手陣営に負けている」との緊急電話を貰い、職域会員へ急ぎ電話をしました。結果は、心配することなく無事当選しました。私は大差だと思う差でした。
 
 以前「斎藤聖美」さんから、アメリカの「ピーポット」という会社のことを聞いたことがあります。その会社はネットで食品の注文を受けて、食材を代行購入して、宅配して商品総額の5%を利益とする会社です。私はこんな商売が成り立つものかと、思いました。そうですよね。仮に1週間分としても3万円まででしょう。5%は1,500円ですよ、自宅まで配達して1,500円にしかならないのです。これでは、デリバリーのビジネスは赤字です。そうですこの会社はデリバリーの業務は、全くの赤字でした。しかし、この裏には儲けが隠されていました。
 それが先の出口調査とよく似ていると思いました。私もそうですが、「昨日お肉を食べましたか」と聞かれて、もし食べていたら、「YES」ですよね。そうするとすかさず、「その肉は次のどの肉ですか」と次の質問が押しかけてくる。そこは細分化されていて、まず「牛肉・豚肉・鶏肉・鯨肉・○○肉」と聞いてきます。すると鶏肉を食べていたとしても、とっさに牛肉と答えますよね。これが1週間分のアンケートであれば余計です。2日おきに豚肉・鶏肉であっても、牛肉が高いから、牛肉と答えますよね。格好が悪いから。
 ここなんですよ。聞くから、思わず違う答えを言ってしまう。受験生に先生が、先週何時間テレビ見たかと質問したら、7時間は5時間、3時間は1時間かほとんど見ていないの答えになる。これまではそれで結果はよかったかも知れない。誤差の範疇だから。だけど本当の精度が求められる場合には、「何を食べたか」と聞くより、お金を出して注文した内容で、本当の嗜好が分かるのではないでしょうか。