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2003/10/8

講義レポートを見て

 去る2日、高松大学で、わが社で毎朝朝礼唱和の「ナポレオン・ヒル成功の哲学」を題材にした講義をしました。これは既に小欄で報告の通りです。
 ところがその後、その講義についての「抗議」ならぬ、「レポート」を担当の疋田光伯先生から頂戴しました。29枚の29人からのレポートですが、私も疋田光伯先生も驚くほど、よく書けています。「よく」という定義も難しいのですが、私の「いい」と言う基準は、私に分かりやすく伝わる文章だという基準です。こんなにお褒め頂いて良いのだろうかと思うものもありましたが、中に手痛い指摘の文章がありました。
 (前略)私は中国人ですが、日本に留学しに来まして、今年の四月ころ、貴社から紹介されたアパートに住んでいます。でも貴社が違約をして、私はもう出ないといけない状態になりました。一番気になるのが、出るのはいいですけど、ほかのアパートを探してくれません(三条店松野不動産の社員さん)私はいま一人で困っています。もし、松野誠寛様が別のアパートを探してくれたら私はこころから、感謝しております。(以下省略)
 
 ビックリしました。まさかこんなクレームが来るとは思ってもいませんでした。彼女のいるアパートはオーナー様のご子息の住宅を新築するために、オーナーが立ち退きを迫っている物件です。わが社は中途解約に消極的ですから、オーナー自らが交渉されています。中国は定期借家権ですから、途中で退去を求められるケースは、公共施設建設以外まずありません。このように契約の途中解約は、日本ではこれまで、使用についての正当事由(この場合であれば子供が自宅用に使う)があり、財産上の給付(具体的には立退料)をすれば、中途解約にも応じて貰える(当事者間で話がまとまらなければ裁判)のもなかなか難しいと思います。
 オーナーに確認したところ彼女は、2万円の賃料で7万円の立退料を貰って、カギを返しに来たようです。次の入居先はもう決まっていたようです。複雑な心境です。