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2003/8/19

路線価の公表が早くなったわけは・・・

 今月1日の小欄で、「路線価11年連続下落」を掲載しています。東京の一部を除いて値下げがまだ進んでいるとの趣旨で書いています。
 本日はこの路線価を違った角度から切ってみたいと思います。
 相続税や贈与税における土地等の評価額算定となるのが、「路線価」です。驚いたことに不動産業者の中に、「路線価」とは、「公的機関が発表した価格」と信じている御仁がいらっしゃって、「路線価」価格で論じながら、○○駅から徒歩10分でよく似た環境だから「ここの価格」は「あそこの路線価」と同じという見解がありました。ご意見は自由ですが、これはいけません。
 路線価というのは、道路に定められた価格でありまして、この道路沿いの土地の価格は、80,000円/uのように例えば記載されています。分かりやすく坪換算の方法を書きますと、(80,000÷0.3025=264,462円)となります。根拠はまた別の機会にしますが、この道路沿いの土地の価格は1u当たり○○万円ですよというアナウンスです。またもう少し正確に言うならば、それに間口狭小(間口が極端に狭い)とか奥行長大(長細い土地)で5%程度までの減額をして算出します。ここは税理士・公認会計士の専門分野です。これ以上の詳細は私に聞かないで下さい。
 ところで今日の話題は、この路線価の公表時期です。今年は8月1日でしたが、過去にはお盆過ぎでした。このところは8月はじめに公表されるようになりました。これは、相続人間で話し合いが必要になることが多い相続税申告の準備のために、親族が都合を付けて集まりやすいお盆前に路線価を発表しょうという、国税当局が納税者の利便性を考慮した結果だそうです。
 余計なお世話と言わずに、相続開始後(正確には相続開始を知ってから)10ヶ月以内に申告を済ませて、相続税を支払うことを条件に、いろいろの特典、例えば配偶者は全財産の半額か、1億6,000万円まで無税とか、退職金に対する課税も、500万円×相続人数まで非課税とかという恩典がなくなります。相続申告は早めに取り組んだ方が、互いに得だと思います。
 ちなみに、相続税を支払う家庭は全体の5%程度です。基礎控除は、5,000万円+1,000万円×相続人数です。