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2003/8/1

路線価11年連続下落

 触れたくはないのですが、不動産業者として、この現実を避けては通れないと思い、ここに所感を述べてみます。
 高松国税局が1日発表した、相続税や贈与税の算定基準となる四国四県の2003年分の路線価は、香川県の平均値として6.9%下落して、11年連続しての下方値となりました。
 また高松市の最高路線価は68万円と前年より17.1%下がり、1992年のピーク時に比べて15.3%にまで落ち込んでいる。四国1位の座を譲り渡し3位に落ち込んだ。数字はいずれも1u当たりですから、坪換算は0.3をかけて下さい。
 しかし、現状としては、ピーク時2100万円/坪の周辺が、150万円/坪でも売却できない状態も散見されます。何に使うかという利用目的、そこから見込める収益性にかかっていると思います。これを収益還元価格といい、不動産の証券化で最重視されている数字です。
 高松市の下落については、「中央通りのオフィス需要が依然として低迷し、景気の悪化傾向による土地需要の減退など」と分析をしています。
 一口で言ったら土地の価格は市場が決めるもので、需要と供給がその値を決めます。その意味では正常な価格形成がされ始めています。ビル需要が盛んで、その周辺の土地が高値で取引された。それが92年の価格で、一気に逆転した「バブル経済の崩壊」が翌年93年秋でした。確かに92年頃の土地の争奪戦は異常でしたが、原則的には、ビル需要での土地高値取引の構図でした。
 そして今を展望すると、ビル需要は全くなし。さらに「サンポートエリア」にビルが来年完成することで、中央通りビル群の空洞化がまだ進む。住宅地はまずマンション需要ですが、これも冷え込んでいます。これは土地需要云々と言うより、「完成マンションの価格異常」がマンションの建設のマインドを下げています。「和田コーポレーション」「ジョーコーポレーション」を旗頭とする安値マンション分譲軍団が、これまでの価格を破壊するほどのインパクトで新築を提供しています。これで中古マンションの市場が、がたがたになっています。