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2003/7/17

裁判の結果が庶民的

 かねてから私も疑問に感じていた、大学入学前に大学側が徴収した入学金とか授業料とか施設利用料等を、入学辞退をしたのにもかかわらず大学側が返還しないことに対して、京都女子大などの元受験生ら5人が同大学等を相手に計約295万円の返還を求めた裁判の判決が、16日京都地裁であった。裁判長は、計約220万円の返還を命じた。大学側は控訴するだろうが、この金額については変わることがあっても、大学側の元学生への「支払い」は確定するだろうと私は思います。
 この裁判で裁判長は、入学手続きに消費者契約法を適用し、「前納金は返還しない」との入学要領の特約を無効とした。これは旨い手だと思います。と言うのも、この消費者契約法は2001年4月に施行されたもので、ゆうならば、それ以前の訴訟にこの条文を用いることが出来ない遡及効の少ない、つまり大学側に被害の少ない条文の適用です。こんなもの庶民感情からすると、以前から違法です。不当利得です。この判決の影響は大きく、各地に各施設に波及します。すると時効の問題も壁となりますが、全国で返還訴訟が起こされます。それを2001年4月からとした訳です。一方減額の理由ですが、これは入学辞退の時期が問題なっているだけで、本命の大学が合格したら直ちに辞退すれば、入学時前にはなります。すると全額の返還がされるという結果です。元学生に損はありません。
 また同じように、「変だなやっぱり判決」が東京地裁で同じ日にありました。弁護士が「税理士である妻に支払った報酬が、経費とは認められず、追徴課税(更正処分)されたのは違法として国や東京都に支払わされた税金62万円の返還を求めた行政訴訟の判決です。裁判官は、所得税法第56条の「生計を一にし、事業を営む配偶者への対価支払いは必要経費に参入しない」を「配偶者が独立して事業を営んでいて、事業の一環として役務を提供して対価を受ける場合は、先の56条に抵触しないとして、返還済みの部分を除く、約42万円の返還を求めた。

ここで一句。「梅雨の中、裁判所は、晴天なり」松野誠寛