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2003/5/8

「短期賃貸借保護の廃止」について3回目

民法第395条は、弱者保護を考慮した条文だと思っていました。
ところがこのようなあやふやなものがあるから、「正しい使用者」と「悪い使用者」が出てくるというのが、改正論者です。
全員が「正しい使用者」であれば、世の中何の困ることもないのですが、先の「占有屋」が「競売」妨害をする。これでは法治国家としての体裁がならないという考えです。

確かにそうかも知れません。
しかし私は競売は最終手段だと考えています。これは抵当権者(金を貸した方)と抵当権設定者(金を借りた方)の双方からして、最終の手段です。
なぜならば、借りた方は、返済金額を減額してでも、返済期間を延長しても要するに完済すべきものです。一方貸した側も、競売よりは「任売」にすべきです。任売とは、任意売買のことで、通常の売買取引のことです。
競売はおおよそ正常価格=時価の半額です。任売はおおよそ7割です。そうなんです、銀行等金融機関は、早く決着すれば少々の収入減は眼中にないのです。仮に1億円の借金があって、競売で7000万円が回収できたとしませんか。残債の3000万円は通常借主の借金として残るのです。全不動産を処分させられ、アパートに住むようになっても、金貸しは給料からも残債の返済を要求するのです。これは銀行等が悪徳だからと言うのではなくて、そういう制度だからです。銀行は預金者から預金を募り、融資している。焦げ付きは出してならないのです。だから追求するのです。社会正義です。

アメリカには、「ノンリコースローン」という制度があります。借金は抵当不動産の競売金額でちゃら。
短期賃貸借制度の廃止より、私はこの制度の導入のための改正を、希望します。
自殺者は分かっているだけで、年間3万人です。分からないものを入れればその数はおおよそ倍はあるのではないでしょうか。
私は声を大にして叫びたい。「君死にたもうことなかれ」「ローンなんかのために死ぬな」