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2003/5/7

昨日からの続き「短期賃貸借保護」の廃止について

民法第395条は、これまでも賛否両論がありました。
まず反対意見ですが、このような条文があるから、不法占拠者である「占有屋」などの輩が徘徊する。これらの輩は、やくざ・暴力団関係者も含まれるから、彼らの資金源になり、競売という「国営システム」の力を阻害し、流通を妨げるという意見です。

ここで抵当権の実行=競売について、例によって簡単にざっくり説明します。
通常銀行など金融機関で資金の融資を受けた場合、「抵当権」の設定をします。むしろ抵当権の設定登記が出来てから、銀行は融資をしますね。ここで融資の返済が当初予定通りであれば、何の問題もありません。昨今の経済状況で、支払いが滞るようになったとします。銀行等は6ヶ月程度は支払いが滞っても、猶予してくれます。その後も毎月の支払いがされないと判断したとき、彼らは裁判所に申し出て、まず抵当不動産に「差押」をかけてきます。そして競売開始決定が同時に行われます。その後に不動産鑑定士や執行官による物件調査などがあり、最初の滞納から10〜12ヶ月で、競売の期間が決まります。しかし、この間は、滞納者はこれまでと同様に、使用就役することが出来ます。
競売期間に、最低競落価格を超えて、最高値を付けた者に、通常この抵当物件が競落されます。
競落者は、裁判所の指定期間内に、入札価格から保証金を差し引いた金員を支払います。すると抵当物件は競落者のものとなり、所有権移転登記が職権でなされます。
新しい所有者が決定しました。本来なら新しい所有者と新規の賃貸借契約が出来た場合を除いて、これまで使用者は退去することになります。
この場合に先の短期賃貸借期間は、先の使用者に引越などの余裕を与えようとするものです。