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2003/4/16

アメリカ的な現象

 米英軍のイラク攻撃もバクダット陥落で終結が近いように見えますが、米英軍はまだ勝利宣言をしていません。表現は妙ですが、何となく始まり、何となく米英軍有利で戦いが進み、何となく終結を向かえ、何となく復興が進むと言った感じです。
 当初アメリカが攻撃の「お題目」は、大量破壊兵器の破棄と、フセイン政権の打倒でした。
アメリカもその点に関して振り上げた拳をおろすところがなく、隣接国のシリアに対して、「隠したイラクの大量兵器を出せ」と次の喧嘩相手を求めている感じです。
 フセイン大統領の消息もはっきりしません。大統領のDNAまで用意しているとの報道もありますが、今のところ死亡に100%近い消息不明と言ったところ。こんな戦いの中、前線の兵士の帰還が、5月末と発表されました。

 これからのことが明確にならないこの時期に、兵士の帰還を発表するという米英軍の現状は、かなり重症を負っている感じがします。

 19歳のアメリカの女性陸軍兵士が救出されました。彼女が美人であったことも幸いして、アメリカ国内でも明るい話題として連日報道がなされているようです。私は彼女のような若い新米兵が前線にいたことにむしろ驚きました。最前線で戦っているうちに、イラク軍に拘束され監禁されていたところを特殊部隊に救出されたとの報道です。また映画になりそうな話しですが、若い女性のそれも新米兵は、私のイメージでは最後尾に追随する予備軍のように写ります。それが………。
 彼女の出身のウエスト・バージニア州は、全米で5番目に貧困率が高い州だそうです。これらの貧困層の家庭は、自立すれば経済援助が貰えなくなるという不安と、多少這い上がったところで生活はそんなには変わらないという諦めから、この生活から脱出することが難しいと言われています。

 そうなんですね、彼女は自分の幸せのために従軍したのでしょう。軍に入れば、学費支援があるプログラムは、特に底辺層の生活を断ち切る意志を持つ若者にとっては、実に魅力的な選択肢です。イラク戦争で従軍している若い兵士の中で、「国のためなら死んでもいい」といって志願した人より、経済的な理由から参加している兵士が多いようです。
 ちなみに州知事は、19歳の救出された女性の学費を州が払うと申し出たらしい。少なくとも、彼女は戦いに勝ったのだ。