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2003/2/28

増田市長に5億5000万円の賠償命令

驚いた。高松高等裁判所水野武裁判長の判決です。
99年3月に完成した「高松市食肉センター」建設に絡み、高松市が地元漁協に5億5000万円の漁業補償を支払ったのが違法として、「市民オンブズマン香川」事務局長が、増田市長に、補償金全額を高松市へ賠償するように求めた控訴審の判決です。

第1審では、「迷惑施設の建設には周辺関係者の同意を得ることが社会的に相当」として2000年8月事務局長の訴えを棄却していた。

「損害発生の可能性を否定できないと言うだけで、事前の漁業補償契約を締結したのは、地方公共団体の長の行政裁量の範囲を超えている」というのが判決理由の一部です。また今回の判決は、タブー視されていた漁業補償業務に風穴を開けた点でも画期的です。

「前市長が進めてきた事業を引き継いだもので、漁業補償をしないとの判断は容易でなかった」と、増田市長の立場にも一定の理解を示している。

確かに補償金は国の要綱やなどを基本に割り出すが、地域の事情や関係者へのヒアリング等で、不透明な点がないわけではないと私も思う。しかし、これまで統治行為論として、国や地方自治体のすることは一応の妥当性を裁判所は認めてきた。それがこのところの裁判傾向としては、行政の裁量権に踏み込んで、既に支出したものの返還を命じている。元京都市長への26億円、元天理市長への13億円、元下関市長のへの8億円などの次に位置する高額となっている。

増田市長は上級審の判断を求めていくとコメントを出した。いろいろな意味で注目される最高裁判断は。